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 屋久島の中央に聳える洋上アルプスにあって、宮之浦岳に次ぐ高さを持つのが永田岳です。その姿は島の東部からは見ることが出来ず、宮之浦岳近辺まで登って漸く山を眺めることが出来ます。鋸の歯の様な山体が特徴的で、眺めるほどに登ってみたくなる山でもある永田岳。ただこの頂、雨の多い屋久島にあっても、特に天候の難しい頂きです。屋久島の一番西に位置する事から、海からの湿気が最初にぶつかるのが永田岳で、天気の崩れも永田岳から始まります。登頂日が丁度寒冷前線が屋久島を通過する日にぶつかり、生憎の天気となってしまいましたが、何とか頂に登る事が出来ました。


(1日目)林道ゲート13:52→淀川登山口14:1119→淀川小屋14:58
(2日目)淀川小屋4:07→小花之江河5:12~16→花の江河5:25→黒味岳分岐5:44→投石平6:13→栗生岳7:23→宮之浦岳7:40~44→焼野三叉路7:56→永田岳8:52~9:04→焼野三叉路9:49~52→宮之浦岳10:11~18→栗生岳10:31→投石平11:47→黒味岳分岐12:19→花之江河12:33→小花乃江河12:42~48→淀川小屋14:01
(3日目)淀川小屋6:42→淀川登山口7:23~29→林道ゲート7:40

久し振りの屋久島訪問

 東京からの飛行機を鹿児島で乗り継ぎ、屋久島へと向かいます。鹿児島からの飛行機はプロペラ機で、前回2000年の3月に訪ねた時にはYS11に初めて乗りました。今回も飛行機こそ新しいものになっていましたが、プロペラ機は変わりなく、鹿児島から約40分のフライトで屋久島に降り立つことが出来ました。
 空港のレトロな食堂で「飛魚の漬丼」のお昼を済ませ、早速レンタカーで登山口へと向かいます。屋久島が世界自然遺産に登録され来島者が増えたからでしょう。道は随分奥まで2車線道路で、林道になってからも巾が広目にとられていました。宮之浦岳方面へは淀川登山口から入山するのですが、登山口手前1キロ程の処で路面が崩壊していて、紀元杉バス停の少し先で車両通行止めになっていました。林道には通行止めの手前400mに駐車可能区域が設けられていて、路肩の広い処に車を停めて歩き始める事にします。

淀川小屋で宿泊

 徒歩約20分で登山口に到着、いよいよ登山道へと入ります。植生の濃い亜熱帯の森を進んで行くと、「世界自然遺産区域」の看板が現れました。世界遺産の山域は、白神の小岳以来です。苔生した明るい森の登山道を歩く事40分、今日の宿舎「淀川小屋」に到着しました。
 淀川小屋は収容人数40人の避難小屋で、小山前にはテント場もあります。この日の宿泊者は、自分を含めて6名でした。小屋の入口の外側が屋根付きのテラスになっていて、夕食を摂るにはもってこいの場所です。ペンネミートソースと餅スープの夕食頂きながら、ホットウイスキーを飲んで明日の山行に想いを馳せます。

予定を早めて4時出発

 2日目は当初5時半頃の出発予定でしたが、天気予報が良くありません。前日の予報では、寒冷前線の通過に伴い、昼から雨になっていました。雨になる前に少しでも歩いたいと思い、3時に起床して4時過ぎに歩き始める事にします。ヘッドランプをつけて歩きましたが、道は分かり易く特に迷う様な場所はありませんでした。

宮之浦岳から永田岳を望む

 花之江河を過ぎ、黒味岳への分岐を越えた辺りで、少し空が白んで来ました。展望の効く高台まで登り振り返ると、黒味岳が赤く染まり始めています。明るくなるに従い、草地の斜面に白い花崗岩の岩が点在する、屋久島独特の景観が見えて来ます。淀川小屋から歩いて3時間、宮之浦岳の山頂に当到着です。

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雨の降り出す中を永田岳へ

 前回2000年3月に訪ねた時は、この山頂が目的地だったのですが、今回の目的地は永田岳。まだ先です。一息ついてから歩き始めると、草地の奥に山頂部がギザギザした形が特徴の永田岳が、雲間に見え隠れする様になりました。三叉路を左折して永田岳への道に入る頃から、顔に時折水滴がぶつかるのを感じ始めました。屋久島の雨は永田岳から降り始めると云われています。西から吹き付ける湿った空気が、先ず屏風の様な永田岳にぶつかり水滴となるのです。正に丁度今、そうなりかけている処でした。

永田岳の山頂

 濃くなる霧と水滴に、永田岳の頂で雨具を身につけました。最高地点と思われる大きな岩は、無理すれば登れそうでしたが、強まる風と雨でのぼるのを断念。山名を記した標柱がある筈なのですが、濃い霧でみつけられません。踏跡の薄い草原の先に立っている様ですが、結局標柱に触れること無く、下山する事となりました。

宮之浦岳を登り返しての下山路

 永田岳から宮之浦岳へ戻る途中、昨晩小屋に泊まっていた登山者とすれ違い、挨拶を交わします。私以外は高塚小屋から縄文杉へ抜ける縦走路を行く様でした。永田岳から淀川小屋へ戻るのは自分一人。このルートは再び宮之浦岳に登り返してから、小屋に向かう事になります。行きには穏やかだった宮之浦岳の山頂でしたが、帰りは風雨をしのぎながらの通過。山頂に留まることなく、下山の途に就きました。宮之浦岳の頂から麻生岳を越え、稜線部から下ると風も弱まります。それでも天気が良ければ帰路に立寄ろうと思っていた黒味岳は諦め、淀川小屋へと戻る事にしました。風雨に見舞れ難渋した永田岳でしたが、思い出深い山がまたひとつ増えました。