根子岳は、阿蘇五岳の中で一番東に位置している。阿蘇の外輪山である大観峰から見た時に見える「涅槃仏姿」では、ちょうど顔の位置にある頂きでもある。高岳を中心とする山群とは少し離れていて、最高峰は天狗峰1433mであるが、山体の崩壊が進んでいて、一般的な登山道で登れる最高点は根子岳東峰標高1408mだ。登山ルートは北側の釣井尾根、東側の大戸ノ口峠ルート等もあるが、最も安全に登れる南側の大戸尾根ルートを辿り、根子岳東峰を目指すことにした。
地獄谷登山口10:30→根子岳東峰11:40~45→地獄谷登山口12:35
濃い霧の中を登り始める
前日は阿蘇山の麓にある垂玉温泉に宿を取り、朝一番で登山口へと向かったが天気がどうもよくない。雨は降ってはいなかったが、鼠色の雲が立ち込め、阿蘇山も4合目から上は雲の中に隠れていた。根子岳に南斜面から登る大戸尾根の地獄谷登山口に到着すると、頭上は濃いガスがたちこめていて、冷たい風が吹いていた。登山口周辺の鼠色の景色は、名前の通り、まるで地獄の入口の様だ。天の良い登山日和ではなかったが、もし途中で強風になったら引き返す覚悟を決めて歩き始める事にした。
大戸尾根ルート
登山道は植林帯の淵を登ってくのだが、尾根道は浸食されていて大きな樋状になっていた。雨が降ってきたら、良く滑りそうだ。単調な登りがしばらく続くが、木の高さが次第に低くなりクマ笹が現れる様になると、岩の露出部に辿り着く。晴れていれば左手に天狗峰、眼下には牧草地が眺められるというが、今日は展望が全く無い。梯子とロープがあり慎重に越えていくが、危険な感じはしなかった。
何時かまた天気の良い日に訪ねたい山
登山道の周りが灌木帯となると、程無く左手から登ってくる大戸口峠からの登山道と合流した。合流点から山頂までは直ぐの距離で、霧の中から山頂標識が現れた。天気が良ければ間近に天狗峰の鋭鋒が見え、北に釣井尾根、南に大戸尾根、阿蘇のカルデラを隔てて外輪山がぐるりと見渡せるはずなのだが、全く展望は無し。何時かまた、天気の良い日に登ってみたい頂となった。