八幡平から南へと伸びる、裏岩手縦走路の中央位置する大深山を訪ねた。大深山は以前から登りたいと思っていた山で、折角ならば紅葉の時期に、八幡平から南へと伸びる縦走コースを辿りたいと思っていた。10月初から紅葉が始まったとの話を聴き、10月2週目の連休を利用して訪れたのだが、稜線部は先週の寒波で雪が降り、色付いた葉の多くは散った後だった。標高の高い場所の紅葉は難しい。八幡平から南へ伸びる広々とした稜線で、駆け足で通り過ぎる秋の山景色を堪能した大深山であった。
見返峠6:41→裏岩手縦走路入口6:53→諸檜岳7:52~8:02→前諸檜8:40→嶮岨森9:20~25→大深小屋9:59→源太分岐10:20→大深山10:27~32→源太分岐10:40→源太ヶ岳10:5255→源太分岐11:09→大深小屋11:25~34→嶮岨森12:07~15→前諸檜12:46→諸檜岳13:24~37→裏岩手縦走路入口14:32→見返峠14:47
見返峠より歩き始める
アスピーデラインで見返り峠まで上がり、峠の駐車場に車を停めて装備を固めたが、天気は上々だが寒い。冬用のズボンにウールのシャツと上着を纏い、手袋とウールの帽子を被って歩くことにした。裏岩手縦走路の入口までは、八幡平樹海ラインの車道脇を歩く。レストハウスの北側には、数日前に降った雪が溶けずに残っていた。
藤七温泉の手前で車道とは別れ、登山道が始まった。道は良く整備されていて歩き易い。赤く染まった木々の紅葉を期待していたのだが、先週の寒波の影響か、多くの木は葉を落とした後であった。冷えた空気の中、東に岩手山、西に鳥海山を望みながら、道は少しづつ高度を上げていく。三角錐の形をしたモッコ岳の分岐を過ぎ、一旦緩く下り登り返した処に諸檜岳の標柱が立っていた。なだらかな頂きで山頂の感じは乏しかったが、登山口から1時間たっていた事から、此処で一本立てることにする。
広々とした稜線を辿り展望の嶮岨森へ
諸檜岳で一服していると、見返峠から大深岳を越えて松川温泉に下る方と、自分同様に大深岳ピストンの登山者と出合い挨拶を交わした。今日のロングルート、同じルートを歩く登山者が他にいる事は何となく心強い。御二人とも、大深岳までは抜きつ抜かれつで、ほぼ同じようなペースで歩くことになった。
諸檜岳からは、展望の良いハイマツ帯を抜け、平坦な道とゴロ石の道が交互に現れる。前日の雨の影響で、泥濘の処も多くスパッツが役に立った。石沼を通過し、緩い坂を登り切った処が前諸檜岳で、山頂標識の辺りからは稜線の先にある嶮岨森と大深岳を真近に望める様になった。前諸檜岳から50m程下り、登り返した処にある嶮岨森。此処の登りが、今日のコースで唯一、登りらしい道だった。嶮岨森は稜線上に突き出た頂で眺望の良い場所だ。此処ではザックを置いて、正面に大深山、東に岩手山、西に鳥海山と大展望を暫く楽しんだ。
霧に包まれた大深岳の山頂
嶮岨森から大深山荘へは、歩き易い道が続く。途中で沢を渡る橋が落ちていたが、水量は少なく橋の脇を歩いて越える。嶮岨森から約30分で大深山荘、そして山荘から30分で大深岳の山頂に到着した。山荘から先の道は霧の中を歩く様になり、大深岳の山頂はガスに包まれていて展望が無い。人も少なく何か寂しい山頂であった。
標識が無かった源太ヶ岳
大深岳から戻る途中、稜線から少し外れた処にある源太ヶ岳に立ち寄る事にした。縦走路から鞍部を越えて登り返した処が山頂の筈なのだが、最高点と思われる処に標識が無かった。登山道は松川温泉に向けて下り始めた処で引き返したが、帰宅後に調べてみると山頂部にはレルンが積まれているとあった。下り始めた道に先に少し開けた処が見えていたので、ケルンは其処にあるのかもしれない。
源太ヶ岳から大深山荘に戻った処で、昼食にする。時間は11時半頃なのだが、既に登山者の姿は無い。大深山荘から大深岳へ登っているときは、何人もの登山者に出会ったが、奥深い山だけあって、皆この時間帯には下山の途についているのだろう。
昼食を済ませた後、登山口へと来た道を戻る事にした。歩き始めて直ぐの遠望の効く場所で、遥か彼方に、登山口から直ぐの処にあるモッコ岳の頂が見え、ロングトレイルを実感する。帰路では雲が出始め、青空に紅葉とはいかなかったが、左右に広がる山景色を楽しみながら帰途に就いた。