蔵王というと、御釜のある熊野岳周辺を追い浮かべるが、蔵王の山域は御釜の周辺だけではない。熊野岳から雁戸岳と続く北蔵王、屏風岳から不忘山へと続く南蔵王。何れも蔵王の山域を東西に横断している「蔵王エコーライン」から、簡単にアプローチする事が出来る。
中でもエコーラインの刈田峠から歩き始める南蔵王は、稜線や湿原に花が豊富で、コースの大部分は展望抜群の素敵なコースだ。この「花の百名山」にも選ばれてる屏風岳・不忘山を、花の季節に訪ねた。
エコーライン登山口6:40→屏風岳山頂8:10~25→不忘岳山頂9:15~45→屏風岳山頂10:10→芝草平10:30~50→エコーライン登山口12:30
朝靄の中を歩き始める
白石icで東北道を降りた時には霧雨だった天候が、遠刈田温泉を過ぎる頃には雨も上がり、蔵王エコーラインの高度を上げるにつれ、霧も薄くなってきた。そしてコマクサ平辺りまで来ると雲海の上に出て、空には青空が広がる様になる。南蔵王方面への登山口である刈田峠に着いた時には、雲海の上、あたかも天上の楽園を歩く様な感じになった。そんな気分の良い絶好の登山日和の中、刈田峠より屏風岳、不忘岳を目指して歩き始める事にした。
展望の稜線漫歩
刈田峠から不忘岳への南蔵王縦走コースは、展望の良い開放的で広い尾根筋を進ん行く。振り返ると、熊野岳へと続く山稜が雲海に浮かんで見えるのが気持ち良い。道の両脇には「石楠花」と「ウラジロヨウラク」、足元には「ハクサンチドリ」や「シュスラン」の咲く花の稜線だ。途中の芝草平の湿原では、一面「キンコウカ」が花を付けていた。緩やかなアップダウンを繰り返すが、「花を追いかけているうちに距離を稼いでいる。」という飽きの来ない道だ。湿原地帯を過ぎて一登りで、今日の最高地点である屏風岳に到着する。
花の稜線を辿り不忘山へ
屏風岳から先、南屏風岳を経て不忘山へと至る道は、乾いた稜線の登山道となる。途中にガレ場もあるが、歩き易い安全な道が続く。花の種類も少し変わり、「ミヤマキンバイ」や「ミヤマシャジン」、「イブキトラノオ
」や「ウスユキソウ」が、道の両側を彩る様になった。
刈田峠から歩く事約2時間30分、今日の目的地である不忘岳へ到着した。頂は展望の良い山頂で、振り返ると花咲く登山道の先に、先程超えてきた屏風岳が大きく聳えていた。