平安時代に修験道の霊山寺として開山された歴史を持つ霊山は、上州の妙義山や信州の戸隠山と同様に、奇岩が特徴の山である。南北朝時代には山頂近くに城が築かれ、激しい戦の場となった歴史も持っている。麓から見ると登るのが大変そうに見える山ではあるが、登山道は良く整備され、安全に奇岩を楽しむ事が出来る。東京からも近く手頃に岩山風景を楽しめる霊山を訪ねた。
登山口10:40→霊山城跡11:25→東物見岩1130→霊山城跡10:40→護摩壇11:50~55→登山口12:25
奇岩の間を抜けて展望台へ
前日に仙台の太白山を訪ねたのち、蔵王山麓の峩々温泉に宿泊。翌朝に霊山の登山口へと向かったのだが、前の週に襲来した台風により土砂崩れで通行止めになっている道があり、迂回路を辿った事で到着までに随分と時間がかかってしまった。登山口へ着いた時には既に10時半近く、広い駐車場に車を停め、手早く装備を整え歩き始める事にした。
登山道は歩き始めて10分もすると、名前の付いた奇岩の間を抜けて進む様になる。苔生した巨岩の間を登る登山道の脇には沢が流れていて、深山の趣が濃い。登山道の傾斜が緩くなった頃に現れたのが「宝寿岩」で、梯子が掛けられていた。梯子を上ると南側に阿武隈山地の山景色が広がっていて、眼下には登山口の駐車場も見降ろせる、高度感抜群の展望台だった。
最高点「東物見岩から太平洋を望む」
水平になった登山道は木々の間を進む。所々に現れる名前の付いた巨岩を眺めながら歩いてゆくと、護摩壇への分岐が現れた。歩き始めが遅くなったこともあり、先ずは頂を踏もうと直進する。分岐から程なく霊山城跡を通過。道は城跡で右に折れ、霊山の最高点である東物見岩へは直ぐの距離だった。頂からは、色付き始めた木々の向こうに阿武隈山地が広がり、さらに遠く太平洋まで望む事が出来た。
霊山らしさあふれる護摩壇
団体と重なったことも有り直ぐ帰路に付き、霊山のハイライトである奇岩が差続く「護摩壇」へと向かう。城跡の分岐から護摩壇へと進んで行くと斜面にかかる狭い鉄橋が現れる。橋を過ぎた処から岩稜帯に入り、奇岩の縁を屁つる様にして進む様になる。絶壁の上にある護摩壇で展望を楽しんでから、再び岩壁に掘られた狭い道を進み、本来の登山道へと復帰する。ゴツゴツとした岩を潜りながら進んで行くが、登山道は良く整備されていて危険に感じる箇所は無かった。
例年であれば10月中旬には紅葉が始まる様だが、今年は夏が長く葉の色付が少し遅いのが残念だったが、短いながらも変化のある登山ルートを楽しむ事が出来た霊山。今度は季節を変えて訪ねてみたいと思う山であった。