深いブナの森が広がる白神山地。秋田と青森にまたがる広大な山域の中で、特に人の手の入っていない白神岳から二ツ森・小岳に至る地域は、1993年に屋久島と共に日本で最初の世界自然遺産に登録された。白神山地全体としてはでは、小岳の東側にある駒ヶ岳や田代岳までのエリアを含む事から、小岳は白神山地の中心部にある頂といってもよいだろう。登山口まで長い林道を走らなければならないが、この白神山地の核心部にある頂に登山口からは割と簡単に登ることが出来る。その頂を、梅雨の合間を縫って訪ねる事が出来た。
登山口駐車場6:40→林道跡出合6:55→稜線標柱7:05→旧道分岐7:25~35→小岳8:00~20→旧道分岐8:35~40→稜線標柱8:55→林道跡出合9:00→登山口駐車場9:15
白神山地の中央にある頂
青森県と秋田県にまたがるブナの山塊である白神山地。世界遺産にも登録されているが、その核心的地域の西端にあるのが白神岳、東端にあるのが小岳である。白神岳は日本200名山にも選ばれていて多くの登山者が訪れているが、小岳は訪ねる登山者も少なく静かな山旅が出来る。広大な白神山地からすれば、小岳の辺りが最も中心部に近く森が深い。7月の中旬、梅雨の中休みの晴天を選び、小岳を訪ねる事にした。
21kmの長い林道
小岳登山で大変なのは、登山口までの長い林道でのアプローチだ。舗装道路があるのは素波里湖畔にある「自然公園素波里国民休養地」までで、此処からは21kmの長い林道を走らなければならない。湖畔沿いから粕毛林道に入り、独鈷森を過ぎ藤里駒ヶ岳へと向かう蒲岱林道との分岐辺りまでは、砂利道ながら走り易いが、此処の辺りから先、特に最後の7kmにある大滝林道は幅が狭く路面の石も荒い為に、走行には注意が必要だ。管理棟の建つ登山口まで辿り着ければ、もう登山の半分は終った様なものである。
美しいブナの森を登る
登山口には駐車場脇に管理棟とトイレが整備されていて、林道奥が登山口になっている。暫くは廃止となった林道跡を進み、約15分で標柱の建つ林道出会いに着く。此処を左に折れてから、本格的な登山道が始まる。10分程の坂道を登ると、山頂まで1.9kmの標柱が現れ稜線に出た。此処からが気持のよいブナ林の中を進む気分の良い道になる。たおやかな稜線上明るいブナ林は、歩いていてもとても楽しい。旧道との合流を過ぎ、2段の階段状の急登を登り切ると、一気に視界が開けた。此処からは白神の森を堪能とながらの、稜線歩きだ。ふと右前方を見ると、雲海の上に岩木山が浮かんでいた。
白神山地を一望できる大展望
登山口から1時間20分、ついに小岳の山頂に到着した。山頂の一角には、西に向かって小さな祠が置かれている。西側には「二ツ森」から「白神岳」へと続く、人の手が入っていない広大な白神山地が広がり、東側には昨日登った藤里駒ヶ岳が大きく、南方には遠く森吉山、そして正面には大きく岩木山。なんとも贅沢な展望に、時がたつのを忘れる程だ。長い林道が大変ではあるが、それを補っても余りある小岳の頂であった。