四国剣山系の、西の起点にある天狗塚を訪ねた。西山林道の登山口は既に標高1100mの標高があり、飛ばされた霧氷が宙を舞うような寒さ。防寒を整え登り始める。植林帯からダケカンバの樹林帯を抜ける頃には、木々の枝に霧氷が付く様になった。振り返ると、霧氷越しに祖谷の谷が望める。斜面のコメツツジは、霧氷を纏い白い団子の様だ。
天狗峠まで上がると一気に視界が開け、ピラミダルな天狗塚が真近に望める様になる。一旦鞍部に下り天狗塚の山頂へ。見渡す限りの山景色。四国は山国である事を実感すると供に、山頂の冬の訪れを体感した天狗塚。今年初めての綺麗な霧氷が印象的な山となった。
西山林道登山口8:45→1476小ピーク9:20~25→天狗峠10:10→天狗塚10:30~35→天狗峠10:20→1476小ピーク11:20~25→西山林道登山口11:50
霧氷の舞う中歩き始める
前日は高知市内に宿を取り、朝の6時30分に宿を出発、一路祖谷へと向かう。祖谷は「かずら橋」で有名な観光地になっていて、「かずら橋」迄は二車線の走りやすい道が続いていた。「かずら橋」から先の道も、剣山を訪ねた98年頃に比べると随分と整備が進み、狭い道の場所も残ってはいるものの、要所がトンネルで繋がれたり二車線に拡幅されたりしていて、随分と走り易い道になっていていた。祖谷川沿いの国道439号線から登山口へと向かう阿佐名頃林道への分岐を見落とす事を心配したが、天狗塚を目指す登山者も結構多いのだろう。道の分岐点に、天狗塚登山口へと向かう立派な標識が建っていた。
林道で高度を稼ぎ登山口に着くと、小雪が舞っている。雪というより、霧氷が風で飛ばされている様でもあったが、とにかく寒い。念のために持参したタイツを身に着け、防寒対策を取る。登山口付近の林道は道幅が広くなっていて、詰めれば7~8台位は車が停められそうだ。到着した時も、上で幕営する装備を持った登山者が、丁度登り始める処であった。
眼下には霧氷越しの祖谷谷
鉄階段から尾根道に取り付き、暫くは檜の植林の片斜面の道を登り始める。暫く歩くと、登山道の左側が檜の植林帯、右側がコナラ等の自然林という、林相の境目の単調な登りとなった。歩き始めて35分で1476mの小ピークに到着、一休みする。
小ピークからは、ダケカンバやモミの樹林帯となり、クマザサの中に着けられた登山道となった。斜度が増し視界が開けてくると、当たりの木々には霧氷が付き始める。四国というと南国のイメージがあるが、既に山は冬化粧を始めていた。振り返ると霧氷の木々越しに祖谷の集落が望める様になり、高度が随分上がった事を実感した。
寒風の吹く中、稜線を山頂へ
斜面に白いモコモコが見える様になったが、笹原の中に点在するコメツツジに霧氷が付いたものであった。左手にピラミダルな天狗塚が見え隠れする様になると、斜度が緩くなり、程なく天狗峠に到着した。視界が一気に開け、霧氷に覆われた剣山へと続く尾根筋が一望出来る。
一時青空がのぞき日も差したが、天狗塚へ向けて歩き始める頃には再び風も強まり、空は厚い雲に覆われる様になった。天狗峠から天狗塚へは笹原を一旦下り、コメツガの茂る斜面を登る道だ。視界が開け天気が良ければ、さぞかし気分の良い登山道である事だろう。ただこの日は冷たい風が強く、足早に天狗塚への頂へと向かう。最後の登りは霧氷が付いたコメツガに捉りながらの、急斜面の登りで山頂へと登る。
山国四国を実感した山頂
登山口から約2時間30分で、天狗塚の頂に到着。其処には360度遮る事のない視界が広がっていた。東は三嶺から剣山へと続く霧氷に覆われた白い稜線が続き、北には黒笠山から中津山へと続く祖谷山系、南は土佐矢筈山などの高知の山並と、四国の東半分の山並みが一望出来る。見渡す限り限り連なる山々は、四国が山国である事を物語っていた。青空が無かったのが残念ではあったが、念願の山頂に立てて、満足のいく山旅となった天狗塚であった。