日本には沢山の駒ヶ岳と言う山があるが、越中駒ヶ岳は登山道の無い最後の駒ヶ岳であった。その駒ヶ岳に、僧ヶ岳から尾根沿いの登山道が2001年に開通し、漸く誰もが訪れられる山になった。今年は1280mにある烏帽子尾根登山口までの林道が、早い時期に開通したという知らせを聞き、僧ヶ岳と越中駒ヶ岳の2山を訪ねる山旅に出かける事にした。
烏帽子尾根登山口6:19→宇奈月尾根コース合流7:05~15→前僧ヶ岳7:50→僧ヶ岳8:11~18→北駒ヶ岳9:02~09→駒ヶ岳9:39~10:07→北駒ヶ岳10:33~43→僧ヶ岳11:25~12:00→前僧ヶ岳12:15→宇奈月尾根コース合流12:42~55→烏帽子尾根登山口13:30
朝靄の中を歩き始める
東京を深夜に出発し、薄暮の時間に宇奈月温泉に到着。林道を上がり烏帽子尾根登山口に到着したのは丁度6時頃になっていた。温泉手前から石川の黒いボックス車の後を走っていたが、この車も駒ヶ岳を目指す氷見から来た登山者の車であった。自分が登山口に着いてから間もなくもう1台と、5台も停まれば一杯になる登山口の駐車場は、6時台に着かなければ一杯になる様だった。
僧ヶ岳へ
装備を固めて薄暗い樹林帯の登山道を歩き始める。少し登り1363mの小ピークを越えると道は平坦になり、樹林の間から前僧ヶ岳が見える様になってきた。歩き始めて45分、宇奈月尾根からの道と合流する地点に到着。ザックを下して握飯をほうばる。此処で単独行の登山者と、2人組の登山者に追い抜かれた。皆、快調な足取り。久し振りに何人もの登山者の登る山に来たが、北アルプス周辺の山だけあって健脚な登山者が多い。合流点からは、ひと登りで前僧ヶ岳に達するが、この辺りからは視界が開け青い富山湾が眼下に見渡せるようになった。そして正面の僧ヶ岳の左側に、形の良い駒ヶ岳の姿も望める様になった。
歩き始めて1時間50分、僧ヶ岳の山頂に到着する。山頂からは東に延びる尾根の先に駒ヶ岳、南には毛勝山、北は富山湾が見渡せる展望の良い頂きだ。先行していた単独行の登山者に写真を撮ってもらい一休みする。天気が悪ければ此処で引き返す予定だったが、今日の日中は好天が続きそうだ。冷たい水でのどを潤してから駒ヶ岳へ向かって歩き始めた。
越中駒ヶ岳へ
駒ヶ岳への稜線上の登山道、藪道かと思ったら綺麗に仮払いされていて、とても歩き易い道だった。足場が腐葉土でソフトなのが良い。快調な足取りで僧ヶ岳から約40分で北駒ヶ岳へ到着、一本立てる。北駒ヶ岳からは一旦鞍部へ下り登り返すのだが、駒ヶ岳への登り口が難所だった。ロープが張られていて岩場を登るのだが、足場が悪く慎重に通過した。ここを越えると駒ヶ岳まではあと僅か、360度の展望が開ける越中駒ヶ岳の山頂に到着した。山頂からは東に後立山連峰の山並、南に毛勝山と剱岳、西には通過してきた僧ヶ岳と、素晴らしい山景色が広がっていた。先に着いていた僧ヶ岳で写真を撮ってもらった単独行の登山者に、ここでも記念写真を撮ってもらう。休んでいるとほぼ同じ時間に登山口を歩き始めた2人組、そして6時50分に歩き始めたという単独行の登山者が次々と到着した。10時前の時間だが、この時間帯が最も山頂が賑わった時間であっただろう。
帰路の絶景
山景色を楽しみながら御稲荷さんを頂き、30分弱の時間を過したのち駒ヶ岳の山頂を後にする。岩場の難所を越えて北駒ヶ岳で一服、温度が上がってきたのか行きより喉が渇く。ここから最低暗部を越えて僧ヶ岳へ登り返すのだが、この時が今日一番しんどい時間帯だった。11時半前に、漸く僧ヶ岳の山頂に到着。ここまで来れば、あとはゆっくり下るだけだ。持って上がった冷し中華と、ノンアルビールで祝杯を上げる。太陽が高い位置になったからであろう、朝見た時より駒ヶ岳の姿が緑色にくっきりと見えた。30分以上の大休止の後、名残惜しい山頂を後にした。この後は朝来た道を引き返し下山するのであるが、前僧ヶ岳までの間は展望も良く、富山湾へ向かって下っていく様な気分の良い道で、僧ヶ岳の魅力は下山路にもある事を発見、形の良い越中駒ヶ岳とセットで、もっと登られても良い頂ではないかと思った。充実した山旅を楽しむ事が出来た、僧ヶ岳・駒ヶ岳であった。