八ヶ岳は、「初めての高い山が八ヶ岳だった」という人も多い、本格的な登山を始める入門向けの山といったイメージがあったが、実際に歩いてみると結構山深く変化に富んでいる。主峰である赤岳周辺の岩稜帯。天狗岳以北の北八と呼ばれる緑豊かな山域。そしてその間にあるのが硫黄岳・横岳を中心とした領域で、主稜線の縦走路は、まるでアルプスの裏銀座縦走路をコンパクトにした観すらある。コマクサの咲く時期、硫黄岳・横岳を訪ねた。
桜平登山口5:00→夏沢峠6:15→硫黄岳7:15→横岳山頂8:30~50→硫黄岳分岐9:40→夏沢峠10:05→桜平登山口11:00
薄暗い道を歩き始める
中央高速を南諏訪で降り、未だ暗い中、登山口の桜平を目指す。涸沢鉱泉への分岐から暫く走ると、林道の脇に登山者の車が散見し始めた。やがて戻って来る車とすれ違うようになる。桜平の駐車場は一杯なのだろう。何とか林道脇に駐車スペースを見つけ、此処から歩き始める事にした。
歩き始めて5分、林道ゲートを通過。車で結構奥まで入れていた様だ。林道を歩く事25分で夏沢鉱泉の小屋を通過、此処からは登山道となる。道は良く整備されていて歩き易い。登山道脇にはホタルブクロや、ミヤマオダマキが咲いていて目を楽しませてくれる。歩き始めて1時間15分、稜線にある夏沢峠に到着した。
稜線漫歩で硫黄岳へ
夏沢峠に立つと一気に視界が開け、正面に奥秩父の峰々が重なって見えるのが美しい。朝の山景色を堪能しながら飲んだコーヒーがたまらなく美味しかった。ここから登山道は稜線を辿って硫黄岳へと登っていく。展望と、足元に咲く高山植物を楽しみながら硫黄岳を通過。硫黄岳の山頂は、山頂標識が立ってはいるが、のっぺりした幅広い稜線の高点で、頂きといった雰囲気は無い。
コマクサの大群落
登山道は硫黄岳から一旦下り、硫黄岳山荘から台座の頭へ向けて再び登りとなる。この登り斜面、コマクサの大群落が広がっていた。北海道の大雪を別とすれば、登山道脇のコマクサ群落としては、かなり大きい方ではないだろうか。コマクサの群落を抜けると、今度はウルップ草の花畑が出現。何とも楽しい道が続く。
鎖場を越えて横岳山頂へ
横岳への一番の難所は、山頂直下とすぐ手前にある鎖場だ。足場はしっかりしていて鎖も張られているので、慎重に進めば危険は無いと思うのだが、結構高度感とスリルはある。登り降りの登山者が、交互に道を譲りながら越えていく。中でもカニノヨ横バイ辺りは、ザックが大きかったら怖い感じもした。
登山口から歩く事3時間30分、横岳山頂に到着する。南には近くに八ヶ岳の主峰赤岳が大きく聳えている。この日は天気が良く、遠く富士山も拝むことが出来た。北には奥秩父の峰々、南には南アルプスから中央アルプスの峰々、周囲360度の大展望は何時までいても見飽きる事が無かった。