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 夏山真っ盛りの8月上旬、八ヶ岳周辺の主要な頂で登り残していた「阿弥陀岳」を訪ねた。八ヶ岳らしい沢沿いの苔むした登山道を辿って行者小屋へ。小屋から稜線へは一気の登りで、樹林帯を抜ける。コルから山頂までの岩場は、傾斜もきつく久しぶりに緊張を強いられる登りだった。辿り着いた山頂からは、八ヶ岳主峰の赤岳から横岳・硫黄岳へと続く稜線や、網笠岳や権現岳の山塊など、南八ヶ岳の山並みを一望する事が出来た。


八ヶ岳山荘4:45→美濃戸山荘5:30~35→左岸尾根取り付6:10~15→赤嶽神社碑6:40→最後の南沢渡し6:55~7:05→行者小屋7:35~55→中岳のコル8:45~50→阿弥陀岳9:20~40→中岳のコル10:00~05→行者小屋10:40~50→赤嶽神社碑11:35~40→美濃戸山荘12:20→八ヶ岳山荘13:00

薄暮の中を歩き始める

 夏山真っ盛りの8月上旬、八ヶ岳周辺の主要な頂で登り残していた「阿弥陀岳」を訪ねた。東京の自宅を1時頃に出発、中央道の諏訪南で降りて登山口の美濃戸へと向かう。美濃戸には大きな駐車場があり、1日500円で停められる。管理している八ヶ岳山荘の受付は、夏山最盛期の時期だからであろう、4時には管理人が受付をしていた。駐車料金を支払い、美濃戸口へと林道を歩き始めた。美濃戸口までは少々ダートではあるが林道が上がっていて車でも入れる。ただ3連休の3日目で、美濃戸口の駐車場に空きがあるか分らなかった事と、以前に八ヶ岳の横岳に登った際、登山口の桜平の駐車場が一杯で駐車に苦労した事が思い出され、安全を見て八ヶ岳山荘前の駐車場に車を停めたのだ。
 林道を歩き始めると次第に明るくなり始め、南沢を渡る橋を越えた辺りからは、何台もの車が美濃戸口へと林道を上がっていった。美濃戸口へは約45分で到着したが、「やまのこ村」と「赤岳山荘」の駐車場も何れも未だ空いていた。車で上がれば往復1時間半短縮出来たが、今更でいたしかたない。

八ヶ岳山荘

薄暮の中林道を歩き始める

美濃戸口

苔生す登山道を行者小屋へ

 美濃戸山荘の先から、いよいよ南沢ルートの登山道が始まる。オオシラビソの深い森の中、苔の生えた地面の間を縫って歩いていくと、所々に「ホタルブクロ」や「ヤマオダマキ」の花が咲いていて登山道に彩を添えていた。鉄パイプで支えられた橋を何度か渡りながら進んで行く。登山道は概ね歩き易い道だったが、流れの急な沢筋を高捲く場所等は、石と木の根が覆う斜面をトラバースする様に道が付けられていて、通過するのに結構時間がかかった。赤嶽神社の石碑の立つ中間地点を過ぎると、苔生した岩の間を抜ける処など、深山の趣がいよいよ濃くなる。傾斜が緩くなり沢筋の幅が広がると、登山道は川原の中を進む様になり、正面には赤岳周辺の稜線部が見える様になった。美濃戸の登山口から登る事2時間余りで、行者小屋に到着した。

登山道入口

苔生した道を進む

高捲き部分

赤嶽神社の祠

広い河原に出た

行者小屋

中岳のコルで広がった大展望

 行者小屋は、赤岳へ登る登山者の登山基地になっていて、小屋の前は結構賑わっていた。小屋周辺の平地には、色とりどりのテントが張られていて、見上げると今日の目的地である阿弥陀岳が稜線の向こうに鎮座している。一休みしながら、握飯を頬張り小腹を満たした。
 行者小屋から10分程歩くと、赤岳へまっすぐ上る登山道を左に分け、中岳のコルへと登る斜面に取り付いた。ダケカンバの斜面を九十九折に登り、木々に白樺が混じる様になると稜線はもうすぐだ。稜線の直前に、やや急な斜面で足場が赤土で「ズルズル」と滑り落ちる処があったが、ロープを頼りに通過する。中岳のコルに登り詰めると一気に視界が開けた。正面には権現岳と編笠岳の山塊が大きく見え、雲海の向こうには富士山を望む事が出来た。振り返れば赤岳から横岳・硫黄岳へと続く八ヶ岳の主稜線。そして右手には、阿弥陀岳への急斜面が覆い被さる様に迫っていた。

テント場の向こうに阿弥陀岳

赤岳への道を分ける

コルの手前の急斜面

中岳のコル

コルからの権現岳・編笠岳

急な岩場を越えて山頂へ

 中岳のコルから進むと、直ぐ急斜面に取付く様になった。折れ曲がった鉄梯子を過ぎると、岩場が現れる。岩の筋に沿って、先ずは左下から右上へ、そして岩の端から左上へと登り、其処からは鎖に捉りながら真直ぐと登る。一旦平らになるが、次の数mの岩壁が一番の難所だった。捉る処が不安定で、慎重に足を運ぶ。岩壁の上が崩れやすい赤土の斜面で、滑らない様にゆっくりと進んだ。登山道の両側にハイマツが現れる様になると傾斜も緩やかになり、一息で山頂へと到着した。

コルからの阿弥陀岳

梯子を越える

岩場を登る

山頂部を見上げる

コルわ見下ろす

一番の難所

阿弥陀岳

 阿弥陀岳の山頂は、直前の狭くて急な岩場からは想像できない程に広々としていて、気持ちの良い場所だった。沢山の登山者が思い思いの場所で休んでいる。中岳のコルから一気に高度を上げた御蔭で、権現岳は見降ろす様になった。雲海に浮かぶ富士山は流石に高い。振り返るとコルを挟んだ赤岳が大きく聳え、横岳から硫黄岳へと連なる稜線景色が素晴らしい。八ヶ岳南部の全貌が一望出る阿弥陀岳からの眺めは素晴らしいものであった。
 下山ルートは御小屋尾根を辿って八ヶ岳山荘へと下る道もあったが、台風の影響もあって午後は雲が涌いてきそうだった。稜線上で万一雷に遭うのもたまらない。山頂直下の急な岩場さえ慎重に下れば、後は心配のないルートだったこともあり、登った道を戻り下山する事にした。

阿弥陀岳山頂に到着

山頂から望む赤岳

赤岳

硫黄岳と横岳

権現岳と編笠岳

御小屋尾根への道