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湯元不忘閣

 慶長年間に藩主伊達公から「湯別当」に任じられ、代々伊達藩主の保養所守りの役を任されてきたのが、青根温泉湯元不忘閣である。開湯から21代続くこの宿には、「青根御殿」という建物に、伊達公の部屋もある。青森ヒバを使って再建された建物の中にある大湯の浴槽は、創建当時の石組みのままだそうで、460年を越える歴史を物語っている。

宿泊 2015年6月、2017年10月

泉質
単純温泉
湯量等
88ℓ/分、32~72度、自家源泉、源泉かけ流し、
浴槽
内湯 5
露天 1

住所:宮城県柴田郡川崎町青根温泉1-1   tel:0224-87-2011

歴史に思いを馳せながらの湯浴み

 宿に到着後先ず向かったのは、優しい自然光が差し込む「新湯」。湯煙に陽の光が差し込む中で湯浴みしていると、不思議と心が安らぐ気がする。混まないうちにと、かつて伊達一門が使用したという「御殿湯」へ。こちらは小さく少し薄暗い御湯だが、湯殿の作りは古く歴史を感じさせる御湯だった。次に向かったのが貸切湯の蔵湯。フロントに木札が残っていれば空いていて入る事が出来る。宿の並びに建つ本物の土蔵の中、大きな桧の風呂がスポットライトの照明を浴びていた。厳かな空間の中、桧の優しい香りに包まれる一時は、すごく贅沢な時間に感じられた。最後に入ったのが伊達の殿様も入ったであろう大湯。小さなプール程ある大きな湯舟に、御湯がとうとうと注がれている。ひょっとしたら政宗公も入ったかと想いながら湯に浸かる時、不忘閣で一番歴史を感じた瞬間だった。
 宿の造りはゆったりとしていて、御湯から上がって休む休息室には、自由に飲める日本酒と、簡単な充も置いてあるのが嬉しい。食事は廊下越しに青根御殿が望める和室の個室。料理は正統派の懐石料理でなかなか美味しかった。

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 不忘閣は湯も歴史があって素晴らしい御湯なのだが、その建物もまた特徴がある。客室は新しい建物の中に置かれているが、重要保存建築物に指定されている明治時代に本館だった建物が残っていて、休息室や食事の部屋として利用されている。庭を眺められる休息コーナーなど、なんとも落ち着く空間だ。この建物からは、渡り廊下を通って「青根御殿」に行くことが出来る。かつて伊達の殿様が滞在した建物で、火災の後に再建された建物だ。
 青根御殿へは、泊った翌日の朝食の後の時間に、女将が宿泊客を案内してくれる。御殿の中は伊達家由来の品々が展示されていて、二階にはかつて殿様が滞在していた空間が再現されたいた。御殿の窓からは仙台平野が一望でき、ここから領内を見渡していたとの事であった。御殿からは宿の屋根越しに、敷地内に生えている樅の木も見えている。かつてこの部屋に逗留し、「樅の木は残った」を出筆した山本周五郎。周五郎が表題を付ける時にモデルにした木が、1本離れている処に立っている樅の木だったという。

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