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南洲館

 明治の政変で鹿児島へと下野した西郷隆盛が、明治9年に一カ月にわたり逗留し疲れを癒した湯治の湯、それが栗野温泉「南洲館」である。「南洲館」は栗野岳の中腹にある一軒宿で、裏手の山間からは温泉の湯気がモクモクと空へと立ち上っている。宿の周囲では、地面から直接湯が沸き出て溜まっている処がある程に、温泉の力が強い場所だ。ここでは硫黄泉、明礬緑礬泉の濁り湯、蒸し風呂の異なる温泉を楽しむ事が出来る。

宿泊 2015年1月

泉質
単純酸性硫黄温泉、酸性含鉄-アンモニア硫酸塩泉
湯量等
57ℓ/分、58~93度、自家源泉、源泉かけ流し、
浴槽
内湯 6
露天 0

住所:鹿児島県姶良郡湧水町木場6357   tel:0995-74-3511

南洲公に想いを馳せる湯浴み

 栗野岳温泉「南洲館」を訪ねたのは、1月も終わりに近い頃だった。1月とは言えさすがは鹿児島、風の冷たさはあまり強く感じない。背後の山の斜面から湯気が立ち上っている栗野温泉「南洲館」へは、早い時間に到着した。
 受付を済ませてから早速温泉へ。先ず向かったのが、男性用の内湯「竹の湯」だ。御湯へは建物から一旦出て、敷地奥にある温泉小屋へと向かう。浴室の2面に重厚な石が積まれた壁があり、その上部から湯が落下していた。湯は濁っていて、体を湯に沈めると、濃度が濃いことが肌で感じられるような湯質だった。明礬緑礬泉で強酸性との事だが、酸と泥の成分で肌が磨かれている様な感じさえする程だ。温まる。
 次に向かったのが、「竹の湯」とは敷地の反対側に建つ温泉小屋にある「桜湯」だ。こちらの御湯は青緑がかった色をした単純硫黄泉で、御湯はさらさらとした感じだ。湯の成分が固着・或いは湯舟の淵を溶かしたせいか。湯船の底に敷かれた石がとげとげしていて、体重をかけると少し痛い場所もあったが、底には湯の花も沈殿していて、長湯にも向いた感じの御湯であった。
 食事は素朴な料理が並んだが、美味しく頂けた。別注にはなるが人数がいれば温泉蒸気で蒸しあげた名物の蒸鶏を頼むと良いだろう。お土産にして家で頂いたが、とても美味しかった。

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