仙仁温泉 岩の湯
須坂の街から菅平へ向かって大笹街道を15分ほど走った山間にある一軒宿、それが仙仁温泉である。温泉巡りをしている者にとって一度は訪れたい憧れの宿なのだが、早くから予約が一杯となり、なかなか予約が出来ない。今年はコロナ禍のせいか、6~7月に予約できる日があり、秘湯の会のホームページから漸く予約をする事が出来た。宿の持つ空間、御湯、食事、接客、そのどれもが満足度の高い宿で、また泊まりたいと思う宿が一軒増えた。
宿泊 2020年7月
泉質
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単純温泉
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湯量等
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400ℓ/分、34.2度、自家源泉、源泉かけ流し、
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浴槽
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内湯 7
露天 3
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住所 長野県須坂市仁礼3159 tel:026-245-2453
心地よい空間
ロビーから部屋へと案内される途中、沢山の休息スペースを抜けていく。18室の宿でこれだけ沢山の休息室がある処は、他には無いのではないだろうか。どの空間も落ち着いた調度品でまとめられていて、場所毎にタイプの違う書籍が収められた本棚が置かれていた。子供向けの本がある本棚では、自分が小学生の頃に読んだ記憶のある本が幾つもあり、今度時間があるとき手に取ってみたいと思った。
部屋は畳敷きの和室の奥に洋間がつながり、ソファーや安楽椅子が置かれていた。申し訳程度に椅子とテーズルが置かれている宿も多いが、椅子に座れる空間が充実しているのはありがたい。食器や電子レンジがも設置してあり、冷蔵庫の中には麦茶と胡瓜の漬物が冷してあって、なかなか気が利いている。ベランダには大木が生えていて、緑深い景色が山の宿である事を実感させてくれた。
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探検気分で洞窟風呂へ
部屋に荷物を置いて、早速温泉へと向かう。3つある貸切湯は既に先客がおり、先ずは洞窟風呂に繋がる男女別の内湯に向かった。庭木を楽しめる外廊下の奥にある内湯は、入ってすぐに石造りの内風呂、洗い場の奥に岩の斜面に設けられた庭を望める半露天の風呂がある。何れも四角い窓から外の景色が切り取られ、一幅の絵を見ている様でもあった。
洞窟風呂は混浴になっていて、湯浴み用の不織布の着衣と湯浴み布を身に着けて入る。扉を開けて中へ入ると、浴壁から温めの湯がとうとうと溢れだしていた。温泉蒸気がミスト状になっていて、蒸し風呂の様な感じがするが、熱くは無いので長居できる。砂利の敷かれた浴槽を少しづつ奥へと進むと、右手に滝が現れる。その先で洞窟は二手に分かれるが、右手の洞窟は奥が深く入口からだと30m以上ある様であった。一番奥の壁面からは、勢い良く御湯が湧いていて、傍の湯だまりに一人で浸かっていると、何か怖い感じがしてくる程であった。
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自然を感じられる貸切風呂
3つある貸切風呂もそれぞれ趣が異なっている。どの借切風呂にも屋内と屋外に浴槽があって、屋内の浴槽にはジャグジー機能も付いている。貸切湯は人気が高く、3つとも塞がっている事も多い。そんな時に待つ為の休息所が途中に設けられていて、ここで景色を眺めながら順番を待つのも良いだろう。
3つの貸切湯の中で一番奥にあるのが「風姿の湯」で、切石の四角い湯舟が特徴だ。内湯は少し熱め、露天は温めの設定で、露天に浸かり周囲の木々との調和を感じながら長湯出来る。休息所の直ぐ奥にあるのが「野守の湯」で、内湯に縁木を使い壁が石組になっているのが特徴だ。露天は森の斜面に繋がっていて、辺りの景色と一体化している。一番手前にあるのが「夢想の湯」で、内湯は楕円形、露天風呂は小さな四角い石組だが、隣にはぬるめの寝湯があるのが特徴だ。3つの貸切湯の他に小さな2つの湯船のある家族風呂もあるが、こちらは景色が見えない。ただ本館から近く、夜中にさっと入りたい時などは便利だ。
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